はじめに
私は双極性障害と診断されてから、すでに数年が経過しています。
初めはこの病気に関することなら何でも知りたい一心で、いろいろな本やサイトを読みあさっていました。
なのですっかり分かった気になっていたのですが、いざ「双極性障害ってどんな病気なの?」って聞かれても、意外と分かっているようで、自分の言葉で人には説明が出来ないことに気付きました。
ここに書いた内容は、本当に基本中の基本で、目新しい情報ではないのかも知れませんが、私自身の取扱説明書的なものとして、分かりやすい言葉でシンプルにまとめてみました。
以前は躁鬱病と呼ばれていた
うつ病とは別の病気
「うつ病」と「双極性障害」は同じ気分障害の仲間ですが、うつ病とは異なる病気です。しかし双極性障害は診断がとても難しく、うつ状態の時に受診されることが多いため、長期にわたり「うつ病」として治療されることも少なくありません。
難治性のうつ病と診断され治療されていた方が、実は双極性障害であることも現実には多くあります。
発症の頻度
うつ病発症の頻度は7%程度、双極性障害の発症頻度は 0.7%程度です。
発症年齢
うつ病の発症年齢が40才前後なのに対し、双極性障害は20代から30才前後と言われています。
双極性障害には2つのタイプがある
*詳しい違いについては双極性障害の分類。1型と2型のうつと躁の違い、それと混合状態について。でまとめています。
治療法はあるの?
双極性障害の治療の主は薬物療法です。それに平行する形で精神療法が行われます。
★「薬物療法」
双極性障害の治療に薬物療法は決して欠かせません。けれど躁状態の時に、自ら薬を服用するというのは容易な事ではありません。1型の躁が出現した場合、入院治療が必要となる事もあります。
双極性障害には気分安定薬、それと併用して非定型抗精神病薬を用いた治療を行います。気分安定薬にはリチウム、ラモトリギン、パルブロ酸、カルバマゼピンがあり、それぞれの症状に合わせて処方されます。非定型抗精神病薬も種類があり、気分安定薬と合わせて用いられます。
双極性障害は、生活リズムの乱れも悪化のリスクとなる為、不眠に対して睡眠薬を服用する事もあります。
(薬物療法の詳しい情報については双極性障害(躁うつ病)とつきあうためにを参照下さい)
★「精神療法」
薬物療法と共に効果がある治療法として、精神療法があります。
しかし、薬物治療を抜きに精神療法だけで治そうとするのは非常に危険です。
まずは薬物治療を最優先し、症状が落ち着いたら精神療法も取り入れていくと考えて下さい。
精神療法には対人関係・社会リズム療法や認知行動療法などがあります。
認知行動療法は、思考や認知に働きかけて心を楽にするためのものです。
対人関係・社会リズム療法は、「対人関係」と「社会リズム」をコントロールする事によって双極性障害の発症を予防していくというものです。
★こちらは私が読んだ対人関係・社会リズム療法の本なのですが、ノウハウ本としてはもちろんのこと、当事者も気付いていないような細やかな患者の心理を言葉にしてくださっていて、セルフケアはこれひとつでも十分ではないかと思います。本も薄くて読むのに負担も少ないのでおすすめの一冊です。 |
遺伝なの?
★こちらの記事が参考になりました。
気の持ちよう、こころの病気などではない
精神科、精神疾患という名の中にくくられているせいか、こころが弱い人というレッテルを張られやすく、気の持ちようなどと誤解される部分が大きいため、当事者の方々は二重の苦しみを背負いながら病気と闘っています。
双極性障害は脳の病気なのです

世の中の偏見をなくしていくには、まずみなさんが正しい知識を身につける必要があります。そのためにも精神科に携わる者は、治療者・研究者・患者を問わずみなさんがそれぞれに協力しあい、大きな力となって社会を変えていく必要があるのではないでしょうか。
よければ双極性障害の1型と2型の違いについても参考にしていただけたらと思います。