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Jast a Traveler

夏を乗せて走るインド鉄道

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インドの旅は1年中いつ訪れても、遠い真夏の思い出として鮮やかに心に焼きつきます。 たとえ日本を真冬に旅立とうと「そんなことはインドには関係ないよ」と、強烈な日差しが強引に主張しているようです。

 

広大なインドに張り巡らされた線路の上を駆けめぐるブルーの列車には、バックパックには収まりきらない沢山の夏の思い出も積まれています。 人も荷物も思い出も、全部を乗せて夏と共に線路の上を走り過ぎてゆくのです。

 

 

思い出を運ぶ長距離列車

夏はいつも雨上がりに突然やって来ては、あっという間に空の向こうへと過ぎ去ってゆきます。 どんなに長く滞在しても、夏の日々はオリフィスの隙間からこぼれ落ちる砂のように、するするとすり抜けてゆくもの。それが夏の決まりごとなのだから仕方がありません。

 

しかし広大なインドの敷地をまたぐ長い線路があるかぎり、すり抜けたはずの出会いも汗でぐしゃぐしゃになった思い出も、まるで忘れ物が無事手元に戻って来るかのように、巡りめぐって同じ場所へと必ず帰って来るのです。

 

 

 

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過去も現在も未来もすべてが繋がっているように、思い出と現実それぞれを切り離すことなんて、いくら頑張ってみたところで到底不可能な話です。ましてや捨ててしまうなんて誰にも出来るはずがありません。

 

それと同じように、インド鉄道は広い国土の距離と時間と、そしてすべての旅人の期待や思い出を繋ぎ合わせて、どこまでも伸び進んでゆくのです。

 

コートを着て白い息を吐きながら家路に急ぐ、そんな真冬の日常の瞬間にでさえ、急に暑苦しいインドの思い出が鮮烈に蘇ってくるのは、きっとあの濃淡ブルーの列車が迎えに来たせいなのでしょう。 だから一度インドを訪れた旅人は、何度でもそこへ戻ってゆくのだと思います。

 

 

 

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これから初めてインドへ旅立つ予定がある人は、ぜひ鉄道の旅を経験して欲しいです。出来れば自分で手配して、苦労して乗り込むところからチャレンジするのがいいです。

 

そして列車の窓やデッキから見る、朝日や月や夕焼けにぜひ心を奪われてみてください。きっと鮮やかな色で描かれた夏休みの絵日記を、あなたは心にたくさん抱えて帰って来ることになるでしょう。

 

 

「インドの旅の思い出は、たとえ日本を真冬に旅立とうと、一生消えない夏の思い出となるんです」